革靴の型崩れの直し方(丸洗いで直す!)

こんにちは。ASHIMOTOのかねです。

こちらは友人から借りたクロケット&ジョーンズのHALLAMです。「革靴直して!」と預かったのですが…

ビフォー

シューツリーはもちろん、日頃のシューメンテは一切行っていなかったのでしょう…革がくたびれ型崩れを起こしています。色ムラもあり、ボロボロな状態…。

今回はこの型崩れした革靴を修復方法として、丸洗いでの直し方をご紹介します!



型崩れの原因と直し方

型崩れの原因はとアッパーとアウトソール双方の「反りグセ」です。加えて「乾燥」されると型崩れしたまま靴が反ったまま固定化されます。
歩くときに靴が曲がりますよね。ケアを怠ると履けば履くほどアッパーもアウトソールにどんどん反りグセがついてしまうのです。

また、革には形状を記憶する性質があります。この性質を上手く利用します。

形が崩れたまま放置するとその形に固定化されてしまいますが、形が正しいまま固定化するとどうなるか?

型崩れが直ります。

「革には形状を記憶する性質」は結構強い性質で、シューキーパーを入れておくだけでは簡単には直ってくれません。そこでポイントがあります。

革を柔らかくすると、一時的に「革には形状を記憶する性質」が弱くなる。

この性質を利用します。

すなわち、革が柔らかい状態(ニュートラルな状態)に戻し、乾燥の過程で型崩れを直していきます。

反りグセがついたまま保管して型崩れが起きないよう、シューキーパーを入れて形を綺麗に保ちつつ保管しなければいけません。

型崩れを直すためのステップ

型崩れの直し方のステップです。汚れ落とし、丸洗いして、シューキーパーで形を整えて、デリケートクリームを塗り完成します。

準備するもの

  • 馬毛ブラシ
  • 革靴専用汚れ落とし(ステインリムーバーなど)
  • 汚れ落とし用の布
  • シューシャンプー(サドルソープ)
  • シューシャンプー(サドルソープ)用のスポンジ
  • デリケートクリーム
  • シューキーパー

それぞれのステップを説明していきます。

ブラッシング&リムーバーで汚れを落とす

まずはブラッシングをして、革についたホコリや泥などをざっくり落とし、リムーバーで革に付着している汚れや古いクリームを落としていきます。

実はリムーバーが最も大切な工程。クリームやワックスで光沢を出している状態は、化粧しているのと同じ状態。化粧の上に化粧をすると・・・男性でも良くないのはわかりますね。

また、この後の工程で革靴をシャンプーしますが、シャンプーで落とすことができない汚れを落としたり、シャンプーでガンコな汚れが落とせるようになります。

ぬるま湯を張り靴をひたす

まずはぬるま湯を洗面所や風呂桶に張り、靴をひたしていきます。私は風呂桶を持っていなかったので洗面所のシンクにお湯を張ってそこでシャンプーをしました。

ポイントは革の全部を均一に湿らせることです。シミやムラの原因になります。

シューシャンプー(サドルソープ)とスポンジで靴全体を洗う

傷がつかないよう優しく洗っていきます。

今回使用しているのは革用洗剤の定番モウブレイの「サドルソープ」とサドルソープ用スポンジです。泡立ちがよく、スポンジは表面がなめらかなので革靴を傷つける心配もありません。

ブラシでコバなど細かい部分を洗うと良いです。ブラシは使用済みの歯ブラシなどでOKです。

サドルソープとは

サドルソープとは革製品専用の石鹸のことです。汚れやシミなどを落としてくれます。今回使用しているモウブレイのサドルソープのように、保革成分も配合されているものが多く、革に栄養と柔軟性を与えてくれます。

丸洗いのメリット・デメリット

丸洗いには、古いクリームやワックス、革に蓄積された汚れ、臭いやカビ雨ジミや塩吹き様々な汚れをしっかり洗い流せるというメリットがあります。

ただし、丸洗いすることによって革の色が変色してしまう可能性があるというデメリットもあります。
また、洗剤によっては革の油分まで洗い流してしまうので、革が硬くなったり、シワやひび割れが起こる可能性もあります。その原因を阻止するためにも、丸洗いの後はデリケートクリームで必ず革に栄養と潤いを与えて保革してください。

サドルソープを洗い流しタオルなどで水気を拭き取る

泡を洗い流し靴全体の水気をタオルで拭き取っていきます。

泡が残っているとシミになることがあるので、流し残しがないようにしましょう。

かね

靴の内側は水気が溜まりやすいので靴の中まで水気をとりましょう。

靴に新聞紙を詰める

水気を拭き取ったら靴に新聞紙を詰めていきます。

1回目10分
2回目30分
3回目1時間〜2時間

計3回新聞紙を詰め直し、徐々に水分を新聞紙に吸わせていきます。最初に新聞紙を詰めるときは、革靴に水分がかなり含まれている状態なので10分程度でOKです。

かね

革が柔らかい状態なので、新聞紙を無理に詰めると革が伸びてしまいますので、ご注意ください。

シューキーパーを入れて3日陰干しする

新聞紙に水分を吸わせ、水分がなくなってきたらシューキーパーを入れ、陰干しします。

乾燥させる時間ですが、経験上「3日間」乾燥させることをおすすめします。1日だと乾燥が足りず、2日だと部屋の湿気や季節によっては完全に乾燥できません。天日干しをすると革が収縮してしまいますのでご注意。

また、乾燥させることで靴の形が固定化します。型崩れを防止するためにもシューキーパーは靴に合ったものを使用してください。

雨ジミのようにならないのか?

雨ジミは部分的に靴が雨に濡れて「濡れた部分」と「濡れていない部分」ができ、その状態で乾かすと「濡れた部分」のみ色が濃くなることが原因です。

全体を濡らし、全体を乾かせばシミはできません。

デリケートクリームで保革する

手にクリームを乗せ薄く革靴に塗りこんでいきます。指で丁寧に塗りこみます。

今回はサフィールノワール「ナッパ」デリケートクリームを使用しました。

サフィールノワールのナッパの成分は

  • ホホバオイル
  • 小麦プロテイン
  • ミンクオイル


この3つが主成分。ホホバオイルは化粧品としてよく使われますよね。小麦クリームはシャンプーとして、ミンクオイルは乾燥肌用クリームとしても有名です。

人の体にも使われるような成分で構成されており、デリケートクリームの言葉の如く、まさにデリケートな革用に作られたクリーム!

手に少し乗せ薄く革に塗り、3分ほど置いて乾かした後、豚毛ブラシでブラッシングしていくだけです。

こちらで詳しくサフィールノワール「ナッパ」の使い方をご紹介しています。

ビフォーアフター

あの、型崩れしてボロボロだった革靴のビフォーアフターです。

ビフォー

どの角度から見てもボロボロ・・・

アフター

ピカピカに修復!型崩れもちゃんと直りました。

どの角度から見てもキレイになりました(笑)シューキーパーを外しても型崩れはしていません。しっかり正しい形で固定化できています。

シューキーパーを外しても型崩れはしていません。

思ったよりも修復でき満足です。本来は型崩れしないようなシューケアが望ましいですが、もし型崩れしてしまったら丸洗いで修復してみてください♪