【保存版】シューケアの全てを徹底解説(丸洗い・補修補色・革靴磨き)
こんにちは。ASHIMOTOのかねです。
お気に入りのヤンコ(YANKO)です。メンテナンスを怠り、革靴が残念な状態に…。

このボロボロになってしまった革靴をピカピカに復活させるべく、復活までのすべての工程を徹底解説します!
中古の革靴靴を復活させるお手入れ方法の基本にもなりますので、是非ご覧ください!
目次
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まずは復活までの全工程とビフォーアフターをダイジェストで!
まずは結論から!ボロボロの革靴がどこまでピカピカに変身したか、ビフォーアフターをご覧ください。
ビフォーアフター
ビフォー
全体的に汚れが目立ちます。トゥを中心に傷も入っており、ボロボロな状態です。


アフター
大復活!自分で履いてボロボロになってしまった革靴でも、中古で安く手に入れた革靴でもこの方法で復活できます。



なかなかいい感じに復活できました!靴も喜んでます。
次に全体像。復活までに準備するものと全ステップです。靴を洗い、えぐれや傷を補修し、クリームで栄養補給と艶出しを行いました。
準備するもの
まず最初の手順は、シューケア用品の準備です。今回使用したシューケア用品は以下の通り。

シューシャンプー前の準備に必要なもの
- 馬毛ブラシステインリムーバー
- ステインリムーバー
- リムーバー用の布
シューシャンプーに必要なもの
- シューシャンプー(サドルソープ)
- シューシャンプー(サドルソープ)用のスポンジ
革の補修と補色に必要なもの
- ヤスリ(#240くらい)
- アドベース
- アドカラー
- 絵具用の筆
シューケアに必要なもの
- サフィールノワール「ナッパ」
- サフィールノワール「クレム1925」
- ポリッシャー
- リムーバー用の布
- ストッキング(パンスト)
- ポリッシャー用の布(ネル布)
なるべく減らしたつもりですが、最低限これくらいは必要になるかなと。
革靴の状態に応じてアドベースの傷補修が不要だったり、アドカラーでの補色が不要だったりします。そのあたりは靴の状態をみて判断してみてください。
復活までの全工程は以下の通り
革靴はこの7ステップで見違える姿へ変貌します。
ただし革が破けてしまったり大ダメージを負った革靴は補修しきれない可能性があります。
今回の方法で補修できる(できた)ダメージや症状は以下の通りです。当てはまるダメージや症状をお持ちの方は、今回かなり参考になると思います。
今回の方法で補修できるダメージ・症状
- 革の色が薄くなっている
- 黒ずんでしまっている
- 雨染みが目立つ
- 履きジワが目立つ
- クラックがある
- 革が少し剥がれている

それでは、各ステップごとにシューケアの方法を詳しくご紹介していきます!
ブラッシング&リムーバーで汚れを落とす
まずは紐を外すところから。

ブラッシングをして、革についたホコリや泥などをざっくり落としていきます。

次にリムーバーで革に付着している汚れや古いクリームを落としていきます。実はリムーバーが最も大切な工程。クリームやワックスで光沢を出している状態は、化粧しているのと同じ状態。化粧の上に化粧をすると・・・男性でも良くないのはわかりますね。

また、この後の工程で革靴をシャンプーしますが、シャンプーで落とすことができない汚れを落としたり、シャンプーでガンコな汚れが落とせるようになります。


はい、スッピンになりました!
シューシャンプー(サドルソープ)で丸洗いする
次のステップです。リムーバーで汚れや古いクリームを落としたら、次は靴をシャンプーしていきます。

シューシャンプー(サドルソープ)の使い方は次の通りです。
ぬるま湯を張り靴をひたす
まずはぬるま湯を洗面所や風呂桶に張り、靴をひたしていきます。私は風呂桶を持っていなかったので洗面所のシンクにお湯を張ってそこでシャンプーをしました。

ポイントは革の全部を均一に湿らせることです。シミやムラの原因になります。

シューシャンプー(サドルソープ)とスポンジで靴全体を洗う
傷がつかないよう優しく洗っていきます。
今回使用しているのは革靴用洗剤の定番モウブレイの「サドルソープ」とサドルソープ用スポンジです。泡立ちがよく、スポンジは表面がなめらかなので革靴を傷つける心配もありません。

また、今回は省略しましたが、ブラシでコバなど細かい部分を洗うと良いです。ブラシは使用済みの歯ブラシなどでOKです。
サドルソープを洗い流しタオルなどで水気を拭きとる
泡を洗い流し、靴全体の水気をタオルで拭き取っていきます。泡が残っているとシミになることがあるので、流し残しがないようにしましょう。靴の内側は水気が溜まりやすいので靴の中まで水気をとるようにしてください。

靴に新聞紙を詰める
水気を拭き取ったら靴に新聞紙を詰めていきます。

計3回新聞紙を詰め直し、徐々に水分を新聞紙に吸わせていきます。最初に新聞紙を詰めるときは、革靴に水分がかなり含まれている状態なので10分程度でOKです。
新聞紙詰め:1回目 | 10分 |
新聞紙詰め:2回目 | 30分 |
新聞紙詰め:3回目 | 1時間〜2時間 |

革が柔らかい状態なので、新聞紙を無理に詰めると革が伸びてしまいますので、ご注意ください!
シューキーパーを入れて3日陰干しする
新聞紙に水分を吸わせ、水分がなくなってきたらシューキーパーを入れ、陰干しします。

乾燥させる時間ですが、経験上「3日間」乾燥させることをおすすめします。1日だと乾燥が足りず、2日だと部屋の湿気や季節によっては完全に乾燥できません。天日干しをすると革が収縮してしまいますのでご注意。
また、乾燥させることで靴の形が固定化します。型崩れを帽子するためにもシューキーパーは靴に合ったものを使用してください。簡易的なバネ式のシューキーパーは、かかとに対してテンションがかかりすぎますので、型崩れしやすいため、バネ式シューキーパーはおすすめできません。

こちらのような通常のスプリング式がおすすめです。
つま先とかかとのパーツが金属製のチューブで繋がれており、靴全体へバランスよく力が加わり型崩れを防止することができます。
こんなに靴を濡らして雨ジミのようにならないの?
雨ジミは部分的に靴が雨に濡れて「濡れた部分」と「濡れていない部分」ができ、その状態で乾かすと「濡れた部分」のみ色が濃くなることが原因です。

全体を濡らし、全体を乾かせばシミはできません!
アドベース(革専用補修材)でえぐれ・傷を補修する
靴を乾燥させたら、次はえぐれ・傷を補修していきます。3日間陰干しして、完全に乾燥した姿です。

まずはえぐれ・傷を補修の手順からご説明します。
サンドペーパー(ヤスリ)でえぐれや傷まわりの毛羽立ちを無くす
まずはえぐれや傷をサンドペーパー(ヤスリ)で少しだけ削り、えぐれや傷がついて毛羽立ってしまった周辺の革を削り平たんにします。

えぐれや傷の程度にもよりますが、サンドペーパー(ヤスリ)は#240くらいの少しだけ粗めのものを使用してください。粗すぎると削りすぎてしまいますのでご注意。これで補修しやすい環境が整いました。
アドベースで傷を埋める
アドベースを傷の部分を埋めるように塗っていきます。塗った後に軽く指で押し込みます。傷以外の部分についたら固まってしまう前にすぐに拭き取るようにしましょう。

30分くらい乾くまで待ちます。
ヤスリで表面を平坦にする
アドベースが乾いたら、サンドペーパー(ヤスリ)でアドベースの表面を平たくするイメージで削っていきます。
こちらも#240のサンドペーパー(ヤスリ)がおすすめです。
になるので、靴の形状に沿うようにヤスリがけするのがコツです。

この手順はできるだけ丁寧に行ってください。革の表面にあたる部分なので表面がデコボコだと、アドベースの部分だけボコボコの見た目になってしまいます。

これでえぐれ・傷を補修が完了です。
アドカラーで補色する
続いての工程です。アドカラーで革靴を補色していきます。

補色は2ステップとシンプルですが、靴に合った色作りが少しだけコツが必要かもしれません。慣れれば簡単です。
靴の色に合ったアドカラーを作る
まずは、靴に合った色のアドカラーを作ります。今回は明るめのキャメルにするため、アドカラー の「キャメル」「キイロ」「シロ」を混ぜ、靴の色と同色になるように調整しました。

色調節に少々コツが必要です。タンの部分など見えにくいところで試しながら、少しずつ色を合わせていきましょう。初めは薄いかな?くらいから濃さを調整していくと失敗を防げます。

パレットはなんでも良いです。私はニベア缶を使いました!

水に溶かしたアドカラーを塗る
少しの水を入れてアドカラーを伸ばしていきます。これは伸びをよくするのと色の調整に必要になってきます。

塗る時はべたっと塗るというよりも、筆を使って「シャッシャ」と撫でるように塗っていくと革靴本来の色と馴染みやすいです。色付けができたら、10 分ほど置いて完全に乾燥させます。

絵具で絵を描いた時を想像してみてください。チューブから出しただけの絵具で絵を描くと濃い色が出ますよね。そんな懐かしいイメージです♪

アドカラーのビフォーアフターです。左が補色後。右が補色前です。


これで補色も完了です♪
デリケートクリームを塗りこみ栄養と水分を補給する
サフィールノワールデリケートクリーム「ナッパ」でカラカラになった革に水分と栄養を補給していきます。
革靴には「水分」と「油分」が両方必要ですが、デリケートクリームとは、「革に栄養と潤いを与えるクリーム」です。ツヤ出しはせず潤いと栄養補給に特化しています。

サフィールノワールデリケートクリーム「ナッパ」についてはこちらで詳しく解説しています。
手に少し乗せ薄く革に塗り、3分ほど乾かす
ナッパを少し指に乗せ、薄く塗っていきます。デリケートクリームが革に浸透していく感覚がわかると思います。浸透度合いに合わせて量を調節してください。柔らかいので開けるときにこぼれないようご注意!

豚毛ブラシでブラッシングする
豚毛ブラシでデリケートクリームを均等に浸透させます。

デリケートクリームには超定番のモゥブレィのデリケートクリームや「コロニルのデリケートクリーム」や「ブートブラックのデリケートクリーム」など様々ありますが、今回はサフィールノワールのデリケートクリーム【ナッパ】を使いました。デリケートクリームの中でもサフィールノワールのナッパは最高の品質があります。
商品名 | 成分 |
モウブレイデリケートクリーム | ラノリンエマルジョン、可塑剤エマルジョン、セルロース濃縮液、香料 |
モウブレイリッチデリケートクリーム | アボカドオイル、有機溶剤 |
コロニルデリケートクリーム | 乳化ろう、溶剤 |
ブートブラックデリケートクリーム | ロウ・油脂 |
対して、サフィールノワールのナッパの成分は、
- ホホバオイル
- 小麦プロテイン
- ミンクオイル
この3つが主成分。他のデリケートクリームと全然違いますね!人の体にも使われるような成分で構成されています。言葉の如くまさにデリケートな革用に作られたクリーム!
油性ワックスで艶を復活させる
今回は油性のワックスの大定番、クレム1925を使ってを使い革の艶を復活させます。色は汎用性のあるニュートラルを使っていきます。

指で薄く、少しずつ革靴に塗って行きます。布より手の方が薄く細かいところまで馴染ませることができるのでおすすめです。ムラができますので一度にたくさん塗らないように注意!

クレム1925の成分は「ろう」「油脂」「有機溶剤」とのこと。
高級ビーズワックスやカルバナワックス、シアバターなどで構成されたツヤ革専用の最高級靴クリームです。
とも書かれています。ワックスとシアバターが栄養補給と保革効果を担い、カルナバワックスはツヤ出しを担っているということですね。
栄養補給・保革・艶出しがこれ1つで出来ちゃう万能クリームとして有名なクレム1925。時短テクニックを記事にしていますので合わせてご覧ください。
ポリッシャーでコーディングする
仕上げにポリッシャーでコーディングをして完成です。今回はサフィールノワールのミラーグロスを使います。

マットに仕上げたいので鏡面磨きをするというよりも、つま先やかかとなど傷つきやすい部分をコーディングするイメージでポリッシュしていきます。



完成品はこちら!



どうでしょう!なかなかいい感じに仕上がっています。コバとヒールリフトの補修はまた今度に。
いかがでしたでしょうか?あんなにボロボロだった革靴が見事に復活しました。本来はここまでボロボロにする前にケアをしていくべきなのですが・・・(反省)是非試してみてください!